42 - 生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答え

自身が没頭している音楽とフットボールにまつわるブログ

宮本浩次とベンゲルと もしくは 宮本浩次とクロップと

フットボールのシーズンが終わり一ヶ月を過ぎようとしているフットボールファンの皆様いかがお過ごしでしょうか

専ら皆様の頭は移籍市場の事でいっぱいだと思いますが、そんな移籍情報に食傷気味の方々へ箸休めに成るような記事を

 

さて

フットボール界で起こった出来事、当事者の心情を音楽に照らし合わせて考え、そのままでも素晴らしい楽曲の歌詞に新たな可能性を見いだそうというシリーズの第一回目

初回はアーセナルの監督、アーセンベンゲルの心情をエレファントカシマシの名曲"悲しみの果てに"に合わせて考えて行きます

 


悲しみの果て / エレファントカシマシ - YouTube

 

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フットボール界には悲しみが蔓延しています。

一つの理由は、圧倒的に勝者より敗者の方が多いスポーツだからです。

これはすべてのスポーツに言える事ですが...)

長いシーズンを通して優勝できるチームはたったの1チーム。ノースロンドンの某チームのように4位以内はトロフィーであると考えてもたったの4チームしか勝者になることが出来ません*1

残りの19チームないし16チームは敗者なのです。

(EL出場という罰ゲームは紛れもなく敗者への戒めです)

さらにフットボール界での悲しみは順位だけに限りません。

ダービーに負ける。サポーターが試合中に亡くなってしまう。クラブが八百長に手を染める。クラブのレジェンドが引退してしまう。クラブのレジェンドの引退試合で6-1で負けてしまう*2

等々、三者三様の悲しみがあるでしょう。

 

さてベンゲルにとっての悲しみとは何でしょうか。

9年間無冠であった事?

その間、財政的に苦しい中チャンピオンズリーグに出て続けていたのに失敗のスペシャリストと銘打たれてしまった事?*3

角刈り男がマンチェスターに移籍して優勝してしまった事?

2011年FA杯決勝、シュチェスニーとコシェルニーが信じられないミスを起こしてしまった事?*4

ノンノン。

ベンゲルにとっての悲しみは二人の男について

16歳から試合に出し続け手塩にかけて育て、キャプテンに据え、

カタルーニャの某チームのオファーを頑なに断り、それでも放出せざるを得なかった、

あげくの果てには過去に絶対に行かないと言っていたロンドンの青いチームに売り飛ばされ、

空気読めない発言でグーナーの神経を逆なでしまくり、さくっと優勝してしまった

セスク・ファブレガス

順調にアーセナルでのキャリアをスタートし、順風満帆な未来が待っていると思っていた矢先に、

ダン・スミスの悪質なタックルによって足首を壊され、度重なる怪我に苦しみ、

それでもその才能に惚れ込み、何度も放出するだろうと考えられていても

ベンゲル一人だけは信じ続けていた

アブー・ディアビ *5 

(今も信じているかもしれない)

 

ベンゲルにとってこの二人が悲しみなのです。

それを踏まえて歌詞を見て行きましょう。

 

悲しみの果てに

何があるかなんて

俺は知らない

見たこともない

たとえFAカップを二連覇しようとも、もしプレミアを制覇しようとも。この悲しみの先はベンゲルはまだ知らないのです。見たこともないのです。この悲しみは今も続いているから そして

ただあなたの顔が

浮かんで消えるだろう

この顔とはセスクの顔なのです。もしくは、ディアビの顔なのです。悲しみの先になにがあるかなんて分からないベンゲルにもそれだけは分かるのです。

涙のあとには

笑いがあるはずさ

戦力的に不十分なはずなのに我々には強力なスカッドがあると主張し続けたベンゲルお得意の希望的観測です。どう考えてもセスクとディアビの事について笑える時が来るとは思えません。

誰かが言ってた

本当なんだろう

クラブのためクラブに投資してくれる新オーナー、クロエンケを連れてこようとしたら辞めざるを得なくなったあげく結局、数年後、そのクロエンケが新オーナーになるという ”なんで俺クビにされたの状態” だったデイビッド・デインの言葉*6 *7

または、ラテン系選手達(いつもニコニコなカソルラとサンチェスあたり)のポジティブ思考全開の言葉。

もしくは、ベントナーの言葉です*8

本当だと自分に言い聞かせているのでしょうね。本当な訳ありません。どう考えてもセスクとディアビの事について笑える時が来るとは思えません。

いつもの俺を

笑っちまうんだろう Oh yeah...

うすうす気付いているのでしょう。もはや、 自暴自棄です。文末の三連ドットが60代の哀愁を醸し出しています。

部屋を飾ろう

コーヒーを飲もう

花を飾ってくれよ

いつもの部屋に

ここが謎のフレーズです。おそらく24時間フットボールのことを考えているベンゲルにとって、身の回りの事をやっている暇はないのでしょう*9

最初は奥さんに一緒にやろうと言いかけているのですが、途中で家事完全放棄で懇願に変わっています。

悲しみの果てに

何があるかなんて... oh yeah

二回目のリフレイン。

ここあたりからからたたみかけるようにohやらyeahやらBabyなど自らを奮い立たせる言葉が増えていきます。

そして、決意表明にも似た次のフレーズに続いていきます。

悲しみの果ては

素晴らしい日々を

送って行こうぜ oh Baby!

このフレーズは悲しみ(セスク、ディアビ)の果てには何が待っているかは 分からない。でも、そんな悲しみを克服し、素晴らしい日々(数々のタイトル)を送って行こう(獲得していこう)という決意表明なのです。”!”にも明らかですね。

しかし、

Ah...

悲しみの果ては

素晴らしい日々を

送って行こうぜ oh yeah...

同じフレーズのくり返し、さらに最後の最後にもう一度三連ドットです。

もう一度自分に言い聞かせるように繰り返していますが、選手を信じる事に対しては右に出る物はいないベンゲルにも悲しみを乗り越えられるかに対しては自信は持てないのでしょう。

 

クロップにもだいたい当てはまりますが、彼は悲しみを忘れようと他の場所へ逃げてしまいました。

さあ、これらを踏まえてもう一度聞いてみて下さい。同じ歌詞に新たな深みが生まれ、イメージが膨らんだ事でしょう。


悲しみの果て / エレファントカシマシ - YouTube

 

 

 

 

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